クロマチックハーモニカの詳細

クロマチックハーモニカの概要

HOHNER Super-64
HOHNER Super-Chromonica270 DX

欧米で主流のハーモニカ

 一般的にクロマチックハーモニカというと、スライド式クロマチックハーモニカのことを指します。トゥーツ・シルマンスやラリー・アドラーなど有名なハーモニカ奏者や、あのスティービー・ワンダーが使用しているものがこれです。演奏スタイルとしては和音の出る他の楽器と一緒だったり、ハーモニカアンサンブルのメロディパートを受け持ったりいたします。

1つの穴で4つ音が割り当てられている

 このハーモニカは1つの穴で4音奏でることができます。例えば、穴番号1番を吹くと「ド」が出て、吸うと「レ」が出て、レバーを押して吹くと「ド#」が、吸うと「レ#」がそれぞれ出ます。
 1つの穴に吹き吸いのリードがあるので、吹いたときに吸う方のリードから空気が漏れてしまい息が足りなくなります。それを防ぐためバルブ皮というもので吹いたときは吸うリード、吸ったときは吹くリードの穴を塞ぎ効率よく空気を使うようにできております。
 1穴4音で4穴で1オクターブのクロマチックスケールが出せるこのハーモニカは、3オクターブから4オクターブのモデルが主流になっております。

バルブ皮があると音が全く出ない?

 このハーモニカを最初に持った方からよく質問があるのが「全く音が出ないんですけど不良品ですか?(特に1番、2番吸音)」というものです。実はバルブ皮が付いているモデルは全てこの現象が現れます。ずばり喉が開いていないのが原因です。そう吹き方が悪いから音が出ないのです。試しに鼻をつまんで吹いてみてください。しっかり音が出ますから。
 コードハーモニカも同じ現象が現れるのですが、コードの場合和音で奏でる(1和音あたり8つリードが鳴ります)ので1つや2つ音が出なくても気にならないのです。因みに私は喉がしっかり開くので牛乳を飲むのが早いです(笑)
 それとバルブ皮が張り付いて音が出ないときもあります。寒い時期に冷たいハーモニカを吹くと結露がおきバルブ皮が張り付きますので、クロマチックハーモニカは手でしっかり暖めてから吹きます。

3オクターブ、4オクターブどっちを買えばいいの?

 最初に持つハーモニカは16穴4オクターブのモデルをお奨めいたします。4オクターブモデルはボディが樹脂で出来ているものが多くメンテナンスも容易にできますし、何と言っても音域が広いので便利です。大は小を兼ねるとは良くいったものです。
 具体的にモデル名を挙げるとHOHNERのSuper-64Super-64XChromonica-280、スズキのシリウスS-64SCX-64がお奨めです。大きくて持ち辛いという人にはスズキから14穴56音のモデルも出ています。4オクターブには足りませんが、下の「ソ」までカバーしているので殆どの曲が吹けます。
 また、レバーのストロークが3オクターブモデルと4オクターブモデルでは違います(全てのモデルではありませんが・・)。マウスピース部分(吹き口)を上から見ると、3オクターブモデルはスライドレバーの穴が上段に揃っているのが判ります。これをストレート配列と言い、レバーを押すとその穴が下段に移ります。上段の穴は境目に隠れる形になり、下段の穴は境目から現れます。これに対し4オクターブモデルは、上下交互に穴が空いているように見え、これをクロス配列と呼びます。レバーを押すとスライドレバーの穴は隣の穴に移りるのが判ります。
 このことから、ストレート配列の穴は小さく、スライドレバーを少しだけ動かせば半音が出て、クロス配列は穴が大きくスライドレバーを大きく動かさないと半音が出ないということが言えます。
 穴の大小は音色や奏法に多大な影響を及ぼし、スライドのストロークは操作性に影響を及ぼします。大きい穴の4オクターブモデルは、沢山の空気が入れられますから大きな音が出ますが、早いパッセージは3オクターブモデルほど早く吹けません。小さい穴の3オクターブモデルは、早いパッセージを吹くのに適していますが、入れる空気の量が少ないので4オクターブモデルほど大きい音は出ませんし、ベンドの掛かり具合も違います。
 私は4オクターブモデルでしっかり吹くことをお奨めいたしております。

複音ハーモニカと同じ配列のスライド式クロマチックハーモニカ

 トンボから複音ハーモニカと同じ配列のクロマチックハーモニカでNO1244・ユニカという機種が販売されております。これは欧米のスライドクロマチックハーモニカとは全く別の楽器です。1穴2音(ドの穴はスライドを押すとド#が出ます)になりバルブ皮が付いていないため「音が出ない」という質問(苦情?)がありません。
複音ハーモニカをやっている方にとってはありがたいものですが、残念ながら教則本等はありませんので独学で学んでください。