10穴ハーモニカの概要
ロックやフォークのアーティスト(ストーンズのミック・ジャガー、エアロスミスのスティーブン・タイラーやゆずとか長渕剛etc)が吹いているのがこのハーモニカです。よく「ブルースハープ」とか「ハープ」と呼ばれますが、それは商品名で正確には10穴ダイアトニックハーモニカと呼びます。
簡単そうに見えるが、実はベンドが出来ないと音階上の音も出せない
1つの穴に吹音・吸音のリードが配置されているので10穴で20音出ます。1オクターブは7音ですから約2オクターブ半出せることになります。ただし音階上の音全てが配置されているわけではありません。メジャーKEYの場合、4番吹音が「ド」ですがそれより下に「ラ」の音はありません。どうやって出すのかというと、3番の吸音は「シ」で吹音は「ソ」なので3番吸音を1音ベンドして「ラ」を出します。この「シ」の音を半音ベンドして「シb」1音ベンドして「ラ」1音半ベンドして「ラb」を出すことが出来るのです。逆に言えばベンドが出来なかったらメロディを吹くことがかなり難しいと言うことになります。
このベンドというテクニックは同じ穴の吹音、吸音の高低差を利用して行うテクニックですので、1〜6番の穴は吸音の方が高い音ですので吸って音を下げますが(ドローベンド)、7〜10番の穴は吹音を方が高いので吹いて音を下げます(ブローベンド)。
通常の吹音リードと吸音リード以外に、全く音の出ないリード(上げみの全くないリード)を1枚入れることにより全ての半音を出すことが出来るようにした画期的なハーモニカがSUZUKIから作られました(SUZUKI SUB-30)。
曲のKEYのハーモニカを使うとは限らない
普通ダイアトニックのハーモニカは曲のKEYのハーモニカを使用いたしますが、このハーモニカに関してはその限りではありません。セカンドポジションと言って曲のKEYよりも完全4度上のハーモニカを使用した方が適切に吹ける場合がございます。
例えばC調のハーモニカで考えてみます。完全4度下の音を基音(G)とするブルーノートスケールを奏でることができます。Gブルーノートスケールは「G・Bb・C・Db・D・F」の音階です。
2番の吹き音は「ソ(G)」の音になります。この音を基音とするブルーノートスケールを演奏することができます。まず、2番を吹けば「ソ(G)」、3番を吸うと「シ(B)」ですがベンドで「シb(Bb)」を出します。4番の吹くと「ド(C)」同じく4番を吸うと「レ(D)」それをベンドすれば「レb(Db)」、5番を吸えば「ファ(F)」が出ます。これでGのブルーノートスケールが全て出せます。
よくバンドメンバーが初めて顔を合わせたとき、ブルースのセッションをしてお互いの技量を確認し合ったりしますよね。ハーモニカもそれに混ざる場合、そのKEYに合ったハーモニカを用意しておく必要があります。ありがちなのは「Aのブルース用」に「D調」と「Eのブルース用」に「A調」、「Bのブルース用」にE調は持っていた方がいいと思います。
残念ながら当教室ではこのハーモニカは扱ってません
と、ここまで色々このハーモニカに関して書きましたが、うちの教室ではこのハーモニカは扱っておりません。このハーモニカはその特性上正確な音程が出しづらく、初心者の段階から合奏をしている当教室には誠に不向きなハーモニカとなります。
ハーモニカとひとくちに申しても、それぞれのハーモニカは発音原理以外共通するところが少ないのです。奏法、特色などそれぞれですのでご自身の趣味・嗜好に合ったハーモニカを学んでまいりましょう。