バス・コードハーモニカの詳細

バス・コードハーモニカの概要

スズキ・コードハーモニカSCH-48
SUZUKI コードハーモニカ SCH-48
スズキ・ダブルバスハーモニカSDB-39
SUZUKI ダブルバスハーモニカ SDB-39

アンサンブルに於けるバスやコードの位置付け

 ハーモニカアンサンブルにおいてバスハーモニカやコードハーモニカの役割を考えますと些かネーミングと役割に相違があることに気がつきます。
 コードハーモニカの役割は、その瞬間の和音を決めることよりもリズムの中心となることに重きを置かれます。そうまるでドラムのようにです。逆にバスハーモニカはその瞬間の和音を決める最大権者となり得ます。役割を認識することにより理解度が増していきます。

バスハーモニカとは

 バスハーモニカは、通常ダブルバスまたはオクターブバスと言って、1つの穴にオクターブ違いのリードが入っているものが主流になります。それ以外には、シングルバス(コントラバス)もありますが、トリオやカルテットなどで見掛けることは殆どありません。大編成のハーモニカバンドでは見掛けることがあります。いずれにしてもバスハーモニカの配列は、音階順に並んでおりますので何の抵抗なく始められ、尚且つ、クロマチックスケールが出せますのでメロディを取ることも可能です。
 音域が広い39音モデルと、それの高音部分をカットした29音モデルがあります。前述の通り、メロディを取ることも可能なので、そこまで視野に入れた場合39音モデルの方がいいと思います。ただし重量が1.5kgを越えますので、年配の女性には結構きついと思います。お奨めはスズキ・SDB-39やHOHNER DoubleBass-78になります。
 また、トンボからポケットバスというハーモニカが出ていますが、配列は全く違い、用途は限られておりますので注意が必要です。

新たな可能性を秘めたバスハーモニカ

 スズキから、スライド式クロマチックハーモニカと同じサイズのバスハーモニカが発売されました(シリウスバスS-48B)。これまで、重くてバスハーモニカを敬遠されていた方でも使用可能なモデルです。
 しかも、クロマチックハーモニカと同じように吹けますので、これまででは絶対吹けないパッセージを吹くことが出来るようになります。弱点は、強く大きな息を入れると、音が出なくなってしまう点です。軽く吹いて、尚且つ、マイクで増幅してあげることにより、今までにないバスハーモニカの世界を見ることが出来ます。

コードハーモニカとは

 コードハーモニカは、和音を奏でるハーモニカになります。メジャーコード12種類、マイナーコード12種類とセブンスコード12種類それにディミニッシュ・オーギュメントコード12種類の48和音出せ、1和音あたり4音がオクターブ違いで配置されているもの(1和音8音構成)が主流となっております。それ以外には、バスとコードを融合させたハーモニカ(HOHNER VinetaやスズキBCH-48)というものや、スライド式クロマチックハーモニカと似た形状のコードハーモニカ、限られた和音を奏でるポケットコードハーモニカなどがあります。
 コードハーモニカを学ばれる際、最初にネックとなるものがコードの配置です。音階順ではなく隣接する穴で主要三和音が出せるよう合理的に設計されております。音楽の知識がある方にはなじみが深いのですが、そうでない方には何の配列なのか判りにくいようです。アコーディオンのベース(鍵盤ではなく左で弾く黒いボタン)も同様の配列になっております。

ディミニッシュやオーギュメントってなに?

 よく「ディミニッシュやオーギュメントという和音はどういうものですか?」という質問を受けますので説明いたします。
 ディミニッシュは、短三度の音を積み重ねた和音のことです。短三度とは半音3個分離れた3度音程のことで、例えば「ド」からみたら「ミの♭」のことです。1オクターブは12の半音で出来ておりますので、短三度を四つ重ねると元の音に戻ります。その4つの音を根音(ルート)としたディミニッシュコードは、全て構成音が同じになるというわけです。すなわち「C、E♭、F#、A」の音を根音とするディミニッシュコードは、全て同じ構成音になります。1オクターブは12の半音で出来ておりますので、三つのグループに分類することが出来ます。前述の「C」のグループと「C#・E・G・B♭」のグループ、「D・F・A♭・B」のグループです。
 オーギュメントは、長三度の音を積み重ねた和音のことで、長三度とは半音4個分離れた3度音程のことです。例えば「ド」からみたら「ミ」のことです。これもディミニッシュと同様に積み重ねると三つめで元の音に戻ります。「C・E・G#」は全て同じ構成音になり、四つのグループに分類されます。前述のCのグループと「C#・F・A」「D・F#・B♭」「E♭・G・B」の4種類です。

楽譜にはあるけどコードハーモニカには無いコードは?

 48和音という制約上コードハーモニカでは出せないコードも多々あります。その代表的なコードに「sus4」や「m7(♭5)」「M7」って言うのがあります。
 sus4(サスペンデットフォー)は3rdの音を半音上げる和音です。例えばCのコードならば、構成音は「ド・ミ・ソ」になりますが、それの「ミ」の音を「ファ」にするコードになります。青い三角定規が歌った「太陽がくれた季節」のイントロで最初に流れる和音がこのコードです。コードハーモニカではこのコードに純粋に対応することは不可能ですので、sus4を取ってしまったコードで対応するのが一般的です。
 次に「m7(♭5)」ですが、これはマイナーセブンコードの5度の音を半音下げるコードのことで、俗に「ハーフディミニッシュ」と呼ばれています。メジャースケール上の、7番目のダイアトニックコードがこれに該当いたします。これをハーモニカで対応させるにはコードだけでは不可能で、バスと共に対応いたします。例えば「Bm7(♭5)」でしたら構成音は「シ・レ・ファ・ラ」になりますが、バスが根音の「シ」を出して、コードが「Dm(レ・ファ・ラ)」を出し対応いたします。人によって「♭5」を無視して対応することもあります。編曲者の好みに寄るところだと思います。
 「M7(メジャーセブン)」もハーフディミニッシュと同様にバスとコードで対応いたします。例えば「CM7(構成音はド・ミ・ソ・シ)」でしたらバスが根音の「ド」を出しコードが「Em(ミ・ソ・シ)」を出します。また、「M7」取ってしまいメジャーコードで対応する場合もあります。
 このように色々な工夫をしながら対応をしてまいります。